第2章 新たな生活
葉「ごめんなさい。私、バスケ部の小田くんが好きなの」
花「ガーン」
花道は中学生活最後の日、意を決して好きな子に告白した。しかし見事に振られた。
「可哀想!」
洋「あはは!」
高「これで振られ続けて50人目!」
忠「ぎゃははは!」
雄「花道おめでとう!!」
花「うるせぇ!」
騒ぎ立てる桜木軍団に、花道はブチッと堪忍袋の緒が切れ、容赦なく4人へ頭突きをかました。
ゴチーーンッ――!!
「あらら……」
しかしには頭突きを食らわせたことは一度もなかった。
女子だから──そして何より、泣かせたくなかったから。
「花道元気出して!花道の魅力に気づいてる子だっているよ!私みたいに!」
自分のことを指さして必死に励まそうとするに、花道は深いため息を吐く。
花「なーに言ってんだ。おめぇに気付いてもらってたってしょーがねーじゃねーか」
「なんでよ」
花「お前と俺は兄妹みてぇなものじゃんかよ。兄妹で恋愛は出来ねーの!分かったか!」
突然の“兄妹宣言”に、がムッと顔を赤くする。
「なんで花道が兄なの!私が姉でしょ!?」
洋、雄、忠、高「「「「そっち!?」」」」
驚いた4人は揃って後ろで総ツッコミを入れた。
花「んだと!?どう見ても俺が兄だろ!」
言い合いながら、花道とは肩を並べて教室へ歩いていく。
喧嘩しているのに、どこか自然で、いつも通りの距離感だった。
その背中を見送りながら、桜木軍団は呆れたように、しかしどこか優しい目でつぶやく。
高「花道のやつも鈍感だよなぁ」
雄「ほど花道のこと好いてくれる子なんて他にいねーのにな」
忠「花道はまるで気付いてねーぜ」
洋「お前だけだぞ、花道。気づいてないのは」
4人の目に映る遠ざかっていく2人の背中は、どう見ても“兄妹”には見えなかった。