• テキストサイズ

僕だけを見つめて【スラムダンク】

第7章 インターハイ予選までの1週間


洋「どうした?花道となんかあったか?」

聞き慣れた声に、反射的に顔を上げる。

「洋平…ぐすっ…ううん、何もないよ」

涙を拭い、必死に作った笑顔は、きっとひどく歪んでいた。

洋「そうか」

水戸はそれ以上踏み込まず、の隣手摺に背中を預けた。
風が吹き抜け、二人の間に沈黙が落ちる。

洋「泣いて屋上行くの見えたからよ」

「…」

何も言えない。
けれど、水戸は急かさなかった。

洋「大丈夫か?」

「洋平」

洋「ん?」

「花道が、私に振り向いてくれることなんてあるのかな…」

ぽつり、と零れた言葉。
自分でも驚くほど弱々しい声だった。

洋「んー…わかんねぇな。だってはまだちゃんと告白したことないだろ?」

「えっ…」

思わず顔を上げる。

洋「周りから見たらお前が花道を好きなのはすぐ分かる。お前がやってきたことが全て花道のためなのも知ってる。でも花道は鈍感だからちゃんと言わないと気づかないと思うぜ」

胸を突かれるような言葉だった。
でも、不思議と否定できなかった。

「そっか…たしかに。花道はちゃんと言われないときっと分からないよね…でももし告白して断られちゃったら??今までみたいにそばには居られないかもしれない…」

声が揺れる。
それは、が一番恐れていることだった。

洋「そりゃ今は晴子ちゃんのことが好きだから断るだろうさ。でもお前が自分のことを好いてるって分かったら、見る目が変わるかもしれないぜ?」

「うん…」

洋「だが、考えてみろよ。花道はそんなんで態度が変わるようなやつか?花道はそんな冷たいやつか?」

その問いかけに、の胸がはっとする。

「あ…」

思い浮かぶのは、不器用で真っ直ぐで、誰よりも優しい赤い背中。

洋「違うだろ?だからまずはお前の気持ちを伝えてみたらいいんじゃねぇのか?」

風が、少しだけ暖かくなった気がした。
は少し俯きながら、ゆっくりと息を整える。
/ 191ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp