第10章 退場王
彦「さーん!!」
彦一がを呼ぶ声に藤真と花形も反応した。
透「陵南にも顔見知りがいるんだな」
藤「そうみたいだな…陵南と海南にも行ったんだろう」
透「気になるのか」
藤「ふっ、別に?」
透「嘘つくな」
藤「嘘じゃないさ」
透「興味津々という目をしている」
藤「あ」
と目が合った。
花形も藤真の視線を追った。
するとは少し恐る恐るといった感じで会釈して来た。
ニコッ
そんなに藤真は軽く手を振りながら微笑んだ。
は恥ずかしさに勢いよく顔を逸らした。
藤「ハハッ、前と同じだな」
藤間の表情は先ほど彦一たちを見ていた表情とは打って変わって、柔らかな表情になっていた。
透(藤真…今のお前の表情の変わりよう、まるで"恋"しているって感じじゃないか…)
そしてこちらにも1人、不満を抱いている者がいた。
仙「ちゃん」
仙(彦一や藤真さんじゃなく、俺を見て。こっちを、見て)
「!!…ボッ…」
仙道に名前を呼ばれたことに気づくと、は顔を真っ赤にし、片手だけ挙げ、カクカクと変な動きになりながら歩いた。
仙「ハハハッ」
仙(どうやら少しは意識してくれているようだな)
そうしてそんなこんなしているうち試合が始まった。
最初は津久武にリードを許してしまった。
「気抜かないでー!花道!昨日練習したこと思い出して!」
花道はその言葉でやる気を取り戻し、リバウンドを取った。
そしてこの花道のリバウンドとリョータのスティールからの速攻により、湘北は流れを取り戻した。
そして後半、流川と三井のスリーポイントで一気に畳み掛けた。
しかし花道はまたしても後半で5ファウルで退場となってしまった。
会場には流川への声援が目立った。
結果、111:79で湘北の勝利となった。
「やったー!花道!次は決勝リーグを賭けた戦いだよ!」
花「イライライライラ…」
「あぁ…」
はこうなった状態の花道に話しかけるのがトラウマになってしまった。
(花道のリバウンドのおかげで流れを取り戻せたのに…落ち込む必要ないのに…)
少し切ない目では花道を見ていた。