第10章 退場王
花「嫌いになったんじゃねぇのか…」
「?」
花「最近避けてただろ。あの試合から俺のこと嫌いになったんじゃねぇのか?」
「なってないよ。ただ…ただ怖かった。嫌われるのが。花道から嫌われるのが怖かった」
花「き、嫌いになんてなるもんか!俺がおめぇを嫌うわけねぇ!!」
「ほんと…?」
花「本当だ!」
「そっか…ふふ…そっかぁ!」
はホッとした。花道に嫌いにならないとハッキリ言われたことが嬉しかった。
でも心の中に何か引っかかる部分があることをこの時は分からなかった。
「練習するんでしょ?付き合うよ」
花「おう!今日は帰れねぇと思えよ!」
「明日試合なんだからちゃんと帰るよ!」
2人は気の済むまで練習をし、帰った。
ー翌日の津久武戦ー
花「さぁ来い!津久武!」
部員たち「おう!!」
湘北が入場すると大きな歓声が上がった。
(すごい…今まで湘北にこんな歓声が上がったことはなかった…今までのみんなの頑張りがこんな声援を生んだんだ…)
はそれだけでうるっと来てしまった。
彦「さーん!!」
「ん?」
どこかから彦一の声が聞こえた。
周りを見渡すと彦一、魚住、仙道を見つけた。
「あ!…ふふふ」
は彦一に向かって手を振った。
彦「ブフォ!あ、あかん!は、鼻血や!!」
魚「全く…落ち着かんか」
そしては陵南メンバーのすぐ近くに藤真と花形がいることに気がついた。
「藤真さんに花形さん…」
(2人が見に来てるってことはこの試合、いや、湘北はかなり注目されてるんだ…)
「あ…」
藤真と目が合った。
するとその藤真の視線を追うように花形もこちらを見た。
(は、花形さん…苦手なんだよな…一応会釈しておくか)
は2人にペコっと頭を下げた。
の会釈に対し、藤真はまた王子のような笑顔で微笑み、軽く手を振ってきた。
ニコッ
「!!」
は恥ずかしさにバッと顔を逸らした。
(藤真さんの笑顔は本当に殺人級だよ…)