第6章 リョータ・三井復帰
「私、本当に花道のこと大好きなんです。だから、花道が笑ってくれるなら、喜ぶなら、もうなんでもいいんです。例えその時隣にいるのが私じゃなくても。自分でも何言ってるのかよく分かんないし、バカだなと思うんですけどね」
ボールが床に跳ね、転がる音だけが残る。
はそれを拾い上げると、三井の隣に腰を下ろした。
三(本当に桜木のことが好きなんだな…)
「私前晴子ちゃんに言ったんです。花道と私はただの同級生で、私は花道のこと好きじゃ無いって。だから花道のこと見てあげて欲しいって」
三「お前…」
「花道の幸せを心から願ってるはずなのに、その時めちゃくちゃ苦しくて…好きなものを好きじゃないって言うのってこんなに苦しいんだって分かったんです。振り向いてくれないってわかってるから、諦めたいのに諦められないし。振り向いてくれないけど諦めないことより、諦めようとする方が私には辛かった」
三「…」
言葉を挟むことができなかった。
「まあ諦めようとしたことはないんですけどね、へへ」
三「なんだよ…ねぇのかよ…」
「諦めたら試合終了ですから、バスケも恋も」
三「!?…お前…どこでそれを…」
その呟きは、の耳には届いていなかった。
「でも諦めるのを想像した時、そっちの方が辛かったから。だから三井さんも、苦しいんだろうなって、楽になって欲しいなって、そう思っただけです」