第6章 リョータ・三井復帰
木暮は、静かに三井の過去を語り始めた。
中学でMVPを取ったこと。
高校でもバスケ部に入ったこと。
だが膝を怪我し、そこから道を踏み外してしまったこと。
簡潔で、けれど胸を締めつける話だった。
彩「リョータにあんなに絡んだのも、ただ単に生意気だっただけじゃなくて、リョータがバスケ部期待の新人だったから。自分が失ったものを持ってたからなのね」
「本当はバスケがしたいんですよね?諦めきれないんですよね?」
その言葉に、三井の表情が歪む。
次の瞬間――
三井は拳を振り上げ、を殴ろうとした。
だが。
は逃げなかった。
その拳を、しっかりと自分の手で受け止める。
「…」
木「やめろ!三井!」
三「うるせぇ!どいつも関係ねぇことぐだぐだ言いやがって!」
怒鳴りながら、三井は木暮を殴り飛ばす。
木「三井、足はもう治ったんだろう?だったら…だったら一緒にやろうよ」
木暮は、それでも一歩踏み出した。
だが、その身体は再び三井に突き飛ばされ、床に倒れる。
体育館に、重い沈黙が落ちた。
それでも――
誰も、もう目を逸らしてはいなかった。