第3章 バスケ部入部
体育館に着く頃には、すでに観客がわんさか集まっていた。
その中から水戸たちの姿を見つけたは、一直線に駆け寄る。
「洋平!はぁ…はぁ…」
洋「やっぱり走ってきた」
息を切らしながらも、の目は体育館の中央に釘づけだった。
「当たり前よ!花道が試合するとこなんて見るしかないでしょ!!」
友達1「はぁはぁ…すんごい速さ…つ、疲れた…」
友達2「私たちまで巻き添いに…」
洋「君たちはの友達?」
「そう!」
雄「本当にいたんだな!友達!」
「雄二!あだ名モジャ金にされてもいいわけ…?」
瞬間、の背後に"ゴゴゴゴ"と見えるような圧が立ち上る。
雄「わ、わかったよ!悪かった!」
高「それにしても相手はバスケ部のキャプテンらしいじゃねーか」
忠「俺は負けるに賭けるぜ」
「花道が負けるわけないでしょ!あんた達それでも友達!?」
忠「だって花道は素人なんだぜ?」
「友達なら無条件で応援しなさいよ!花道ー!頑張れー!」
体育館中に響くほどの声量だった。
観客がザワッとざわめき、いくつもの視線が彼女に向く。
花「ん?あ、。おう!」
花道は嬉しそうにキョロキョロと彼女を探し、見つけると拳を高く突き上げた。
「花道ー!」
周囲の冷たい目線も、には一切届かない。
ただただ花道だけを見て、全力で声援を送る。
勝負の内容は、赤木が10本ゴールを決めるまでに、花道が“どんな手を使ってもいいから”1本決められれば勝ちというもの。
観客が固唾をのんで見守る中、花道は――ついに一本をねじ込んだ。
場内に歓声が沸き起こる。
そしてその瞬間、花道は信じられない事実を知る。
花道を圧倒していた大男・赤木は、あの晴子の兄だった。