第9章 揺らぎ
流川はもう一度を抱きしめた。
流「俺だけ見てろよ」
「うわぁーん!」
は流川の腕で泣きじゃくった。
一通りが泣き尽くしたのを確認すると、ようやく流川は腕を解いた。
流「落ち着いたか」
「うん…」
流「ベンチ掃除しに行くのか。スタッフの人がやってくれると思うけど」
「試合させてもらったし、お世話になったからする…」
流(そういうとこはあいつと違って律儀なんだな)
流「分かった」
「…じゃあ掃除してくる」
流「…」
流川はの後ろを無言でついてきた。
「どうしたの?ついてきて。帰っていいよ」
流「手伝う」
「いやでも流川疲れてるでしょ?」
流「フルじゃねぇし…別に」
「ありがと…」
2人は掃除を始めた。
始めてしばらくは無言だった。
しかしその沈黙を最初に破ったのは流川だった。
流「…返事、まだ聞いてねぇ」
「返事?」
流「…」
流川は黙ってを見つめた。
「あぁ…すぐに答えは出せない…ごめん」
は俯いた。
流「分かった」
「だって…だってずっと花道が好きだったんだよ?ずーっと、花道のことだけ見て追いかけてきたんだよ?それなのに、はい次って、すぐにそうは…」
流「分かったから」
流川は俯いたまま話すの両頬を両手でムニュッと掴むと上を向かせた。
流「分かったから。お前がどれだけあのドアホウのことを想ってたのかは見てればわかる。だからいちいち口にしなくていい。ムカつく」
「ごふぇんにゃしゃい」
流「はぁ…謝るな」
流川はの頬から手を放した。
「で、でも…」
流「次謝ったら黙らすぞ」
「黙らすってどうやって…」
流「こうやって」