第5章 陵南戦
部活が始まってしばらく経ってから、花道が勢いよく体育館に飛び込んできた。
花「チュース!」
「あ、花道…」
赤「遅いぞ!桜木!」
花「ガハッハッハッ!天才桜木!バッシュを履いて登場!さぁ!いくぞー!」
いつもならここで笑顔を返すだが――
その瞳はどこか沈んでいて、笑みは浮かばなかった。
それを察したかのように、流川がの前をわざとゆっくり横切った。
流「ほっとけ」
ただそれだけを落としていく。
「流川…」
晴子と一緒に選んだバッシュを誇らしげに履いた花道は、ディフェンスに果敢に挑戦した。
流「ふんっ、偉そうに」
その足取りのまま、流川へ向かって挑発するように言った。
花「流川、この大天才に嫉妬してんだろ?好きな子にバッシュまで選んでもらっちゃって、羨ましいんだろ?ガハハハっ!」
花道は自慢げに、自分の足元を流川へ突き出す。
流「…ふんっ。俺のもだ」
花「ガハハハっ…な、なに!?」
の買った真新しいバッシュが、流川の足元に輝いていた。
流「練習に集中しろ。ドアホウ」
花「こんちくしょー!流川めー!」
花道の怒号が体育館に響く。
だが、その背中を見つめるの胸には、複雑な痛みが残ったままだった。