第5章 陵南戦
そして流川とが歩き去った方向とは反対側――
その廊下の陰で、水戸はじっと二人の背中を見送っていた。
さっきまで教室で浮かべていた悲痛な表情を思い出し、胸がざわついて仕方がない。
自分でも説明のつかないざわめきだった。
水戸が来たのは、ただ“の様子が心配だったから”。
……そのはずだった。
ー3人にからかわれた後ー
洋(はぁ…のやつ、大丈夫かな?今頃泣いてたりするんじゃ…)
そんな思いを抱えたまま、水戸はそっとの教室を覗き込んだ。
洋「あ…」
すると視界に飛び込んできたのは――
なんと、流川がを胸に抱き寄せている場面だった。
一瞬で血の気が引いた水戸は、反射的にその場に身を隠した。
洋(流川…あいつあんな積極的だったのか…?まずいぞ花道…いや、花道もだが…俺もだ…こりゃまずいぞ…こないだの試合で仙道ものことを気になっていたようだったし…花道…俺はどうしたらいいんだ…)
胸の奥に、今まで感じたことのない焦りと苦味がじわりと広がっていった。