第5章 陵南戦
校門の前に腕を組んで立つ男がいた。
いつも花道を柔道部に引き抜こうと狙っている、青田龍彦。
青「桜木。昨日は負けたってなぁ。これでバスケット部がイヤになったろう。ハハハハッ。桜木、柔道部に…」
再び
ゴッ!!
青田にも容赦ない頭突きが入った。
5人「「「「「おぉ…」」」」」
青田が吹っ飛ぶのを背後に、花道はさらに機嫌悪く校舎へ入っていく。
その瞬間、寝たまま自転車を漕ぐ流川が、ふらりと5人の横を通り抜けようとしていた。
そして――
の目の前へ、車輪が向かう。
洋「危ない!」
「キャッ…」
水戸が反射的にを抱き寄せ、倒れそうになる身体を支えた。
洋「大丈夫か?」
「う、うん…」
その距離は近く、は思わず胸がどきりと跳ねた。
顔のすぐそばにある水戸の表情――それに一瞬見惚れてしまう。
ふと、流川がまぶたを上げてぼそりと呟いた。
流「悪りぃ」
の声で目を覚ましたらしい。
だが、の視線は水戸へ向いたまま。
流川の存在は、その一瞬 “完全に視界から消えていた”。
流川は再び眠りに落ちながら自転車を漕いでいったが、
あとから頭が冴え始めると――
流(……あ?)
と水戸の距離を思い出し、
ひとり眉間に皺を寄せ、もやもやを抱えたのだった。
一方その後ろでは――
まだ柔道部勧誘を続ける青田が叫んでいた。
青「待て桜木!この青田率いる柔道部には敗北の二文字はないぞ!お前が入ればなおさらだ!うわぁ!」
次の瞬間、
ガツンッ!!
寝ながら自転車のままの流川に轢かれた。
青「おのれバスケ部め!」