第5章 陵南戦
仙道は流川の前で立ち止まり、軽く手を差し出した。
仙「おう」
流川は敵意を隠しもせず、その手をパシンと叩いた。
手を握る気はさらさらない。
仙「お前んとこのマネージャー、なかなかいい子じゃないか。」
その一言に、流川の眉がぴくりと跳ねる。
睨むように目を細めるが、仙道はそれすら面白がるように微笑む。
仙「ふっ」
仙(やっぱり好きなんだな)
次に仙道は花道へ。
仙「桜木」
花「ぬっ?」
振り返ると、仙道が真っ直ぐ花道へ手を差し出していた。
仙「俺を倒すつもりなら死ぬほど練習してこい」
花「仙道…」
手を握り返したその瞬間、花道の胸に再び火がつく。
悔しさと敬意を混ぜ合わせたような熱が、脈打つように広がった。
横で彦一もその様子を見つめ、拳をぎゅっと握る。
彦(わいも死ぬほど練習するで…ほんで…いつかは仙道さんのように…)
すると仙道は、ふと思い出したように問いかけた。
仙「試合の前の話、覚えてるか?」
花「なっ…お、覚えてねぇ!」
仙「そうか。俺は覚えてる」
花「だからなんだ…」
仙「まぁそういうことさ」
花「お前には絶対…」
仙道が軽く笑い、花道が牽制しようとしたそのタイミングで――。
「あ!いた!」
明るい声が響いた。
花道、仙道、彦一の三人は同時に振り返る。
当然、花道のもとへ向かうと思っていた。
しかし、が向かったのは――
彦一だった。
「さっき花道に投げられてたでしょ?大丈夫?怪我はない?」
彦「え、えぇ!?わ、わいでっか!?」
彦(アカン……こんな可愛え人と話したことあらへんから、ドキドキしてまう…)
一瞬で顔を真っ赤にし、耳まで真っ赤になる彦一。
仙道は肩を揺らして笑い、花道はぽかんと口を開け、流川はさらに眉間のしわを深めた。