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何も知らない僕たちは

第5章 5


名も所在も分からぬ少女がここに来てもう一か月が過ぎようとしている。
鬼太郎は頭を悩ませていた
人間界では大丈夫なんだろうか。もう流石にここまで人が姿を消してしまえば警察沙汰になっているはず、血眼になってこの子を探しているだろう。

しかし、不思議なことに本人が帰りたいという言葉も、素振りも全くない。

そもそも少女がここに来て何かを喋ることは一度もなかった
むしろ帰りたくないのかもしれない。もしかしたら僕が想像した仮設は合っている…
いや、それよりももっと大きな事だったのかもしれない








”虐待”








最近世間で騒がれている言葉が頭の中を駆け巡った。
そう考えざるを得なかった。それなら何もかも辻褄が合ってしまうから


けれどこれ以上人間と妖怪が交わりを持ってはいけない。
相互間の仲介人的立場である自分はそう理解していたし、今までもそう自分に”言い聞かせて”きた











けれどまだこんなに幼い子供を見殺しにすることが僕の役目なのか…?















「一緒に散歩でも行こうか」
その後にはそう誘ってた。買い出しを口実に少女を人間界に連れていくことが主な目的だった


『元々の家庭でなくともこの子の隣人や親戚に相談すればもしかしたら引き取ってもらえるかもしれない。今は彼女がどこに住んでいたのか思い出してもらうことが第一だ』



少女はあまり乗り気じゃないような顔をしていたが仕方がないので手首をつないで出かけた

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