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何も知らない僕たちは

第14章 14


「最近、新しい手口で妖怪を滅しようとする刺客が現れたんだ」

「新しい…というと」

「自分で封じようとするのではなく、妖怪同士を戦わせる方法だ」

「!」

「このやり方は明らかに今までの方法とは効率が良かった。同士で戦わせれば自分で手を下す必要はないし、相手の戦力も二分の一に減る。
陰陽師はお札造りに長けてるからな。後はひたすら”操”の札を作ればいいって訳だ」

「そんな…
それって皆殺しが前提じゃ…」

「そうだ。だが賛同している者も多数いる。主に若者だな。

これは陰陽師内部でも行われている効率を取る派と伝統を重んじる派の熾烈な争いでもあるんだ。


その効率派の全ての統率者であるのがダイウイキョウの家紋の者だって話だ。名前も明かされてないし姿も僅かな人数しか目にしてない。俺達はそいつの家紋を取ってアニスと呼んでいる」

『そう考えれば、鳩原さんは伝統派か…』
「…それで、今の状況は?」

「最悪だ。こっちの人数はどんどん取られてる。

ま、あんな条件出されたんじゃ考え変える人もいるよな…」

「条件…?」

「”この方法でもし鬼太郎を倒すことができたら、こちらの要件を呑んでもらう”ってな」

「ッ…!?」

「これ!!そんな重要なことを何故先に言わん!!」
「す、すまん。これでも俺は隠居してる身だから伝える術がなくてな…」


「でも、その話が事実なら辻褄は合う。あの身を奪われた妖怪たちも僕をおびき寄せる為の刺客だったのか…」


「……鬼太郎、悪いがさっきも言った通り首謀者は明白になっていない。
本気で解決しようって思ってんなら…

全陰陽師を敵に回す覚悟はしておいた方がいい」

その言葉の重みを知り、冷汗を垂らすが、

静かに頷いた。






「色々ありがとうございました」
「良いって事よ。
また何かあったら気軽に来な」









「…………


まさか、な」















一方カヲルは日課である散歩に出かけていた。散歩、というよりは歩いて気になったものに足を止めるという作業だが。

今日は一匹の蟻を見つめていた。冬眠の巣の強化の為なのか、大きな砂の塊を一匹で運んでいた。

私達が見えている物は…彼らには見えない。例えば草木で隠れて見えない大きな石とか。降りられなくなって困っているのかそこの周りをうろうろしていた。
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