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何も知らない僕たちは

第1章 1


はしごをゆっくりと登る。時々鼻を通る木の匂いが懐かしい気がした。

家の淵からそっと顔を出してみると

人がいるのを確認できた。


一人の少年

家の中はやはり古めかしく、まるで昔の貧しい民家のようだった。一人暮らしなのだろうか、少年はちゃぶ台の横に礼儀正しく正座している。しばらく観察しているとどうやらテレビを見ていいるようでこちらには気が付いていないようだ。
不法侵入者だと思われずに済んだと肩をなでおろすも、どうやって助けを求めようかその態勢のまま悩んでいた









その時間が長かった。

少年がこちらの視線に気が付いたのか顔を向ける。
視線が交わった瞬間、彼女は”逃げろ”という本能にかられた。

理由は特にない。何かひどいことをされるという自信はゼロに等しかったが逃げねばならぬと頭が必死になっていた

しかし、とっさのことに体が反応しなかったのか、はしごから足を踏み外し、背中から落ちてしまう






結局、逃げることも、痛いことに遭うのも両方逃れることはできなかった






ズシッ

背中からの痛みは受け止められたにしては固く、落ちたにしては柔らかかった
背中を抑え、地面を見てみると
黄色と黒



「よかった、間に合ったみたいだね」

はしごから降りてくる少年の姿を見て初めてこの子の服だと気が付く

「大丈夫?立てる?」

彼は少女に手を差し伸べる。
少女は少年の目を一点に見つめて…





















表情を崩した



「えっ!?」

「うわああああああああああああああああああああああああああ」

「ど、どうしたの!?やっぱりどこか打った?」

「これ鬼太郎!男が女を泣かせてどうする!」

「と、父さん!?ち、違くて…!
お願いだから泣き止んでよ…」

お互いに「一体何者なんだ」という疑念があった







ここはゲゲゲの森。

それに気づくのは先の話。
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