第70章 報告
「美緒さん…またここまで歩いて来たんですか?」
『うん。だって近いし。』
「何かあったらどうするんですか。
安定期だからって油断したらだめです。」
『でも少しくらい運動しないと…』
「あなたの少しは少しじゃないんですよ。」
…こんな感じでかなりの過保護。
瑞希の言った通りだった。
私たちの家からポアロまでそんな大した距離じゃないのに
いつもタクシーを使えって言われる。
お金もったいないから嫌だって言ってるんだけどね…。
梓「安室さんってすごく心配性!
美緒さん、愛されてますね。」
確かに私も最初の頃は零くんが気にかけてくれるのは嬉しいって思ってたけど…
さすがにちょっと過保護すぎて、
最近は少々めんどくさくなって来てる。
『心配性なんてレベルじゃないですよ。
家にいる時だって大変なんですから……。』
梓「そうなんですか?例えばどんな?」
テーブル席に座っている私のそばに来た梓さんは
普段の零くんがどんな感じなのか興味津々で…
当の本人は、私たちの会話が聞こえているはずなのに
知らん顔して私のドリンクを作っている。
自分は何も間違ったことはしていない、とでも思っているのだろうか。
『…重量1キロ以上のものは持つな、と言われました。』
「…えぇ!?1キロ!?」
1キロなんて牛乳パック1本…
500mlのペットボトル2本分くらいの重さだ。
普通に生活してたらそんなの絶対無理に決まってるのにね。
『まだありますよ?
食べ終わった食器を立って洗ってたら次の日には食洗機が用意されていました。自分で洗った方が早いのに。』
「…えー………。」
『家の掃除をしていたらすぐに止められて
その日のうちに電気屋でロボット掃除機買って来たんですよ?無駄遣いもいいところです。』
「…うわー…。」
『1番辛かったのは車の運転を禁止されたことです。
私の趣味の一つだったのに…ひどいと思いません?』
「想像以上の過保護っぷりですね…。かなり意外です。」
ですよね…私も驚いたもん。
零くんってこんなに心配性だったっけ!?って思わされるには十分だった。