第70章 報告
『でも私…しばらく戦えない…。』
「僕が守ってやるって言ってるだろ。」
『協力者の仕事だって…』
「しばらくは休んでいい。復帰したらたくさんこき使ってやる。」
『っ……零くんのそばに…いてもいい…?』
「当たり前だ。最初からそう言ってる。」
『…ありがとう。』
零くんには敵わない。
黙って家を出ていくことも考えたけど
そんなことをしたら零くんはきっとどんな手段を使ってでも私のことを探し出すだろう。
それに…
同期のみんなにも二度と勝手にいなくならないって約束したから、私はそれ以降、この町を離れようと考えることはやめた。
それから私はつわりに苦しみながらも毎日を過ごし
2ヶ月近く経った頃、ようやく体調が落ち着き安定期に入った。お腹の子も順調。
同期のみんなには子供ができたことは報告済みで
みんな揃って「おめでとう!」と言ってくれた。
安定期に入ってからポアロを訪れた際、
梓さんは少し大きくなった私のお腹を見てとても驚いていて、零くんとの子供がお腹にいて、結婚した事も報告した。
零くんの本名は知らないままだから
安室さんと結婚したことになってるけどね……。
梓さんに報告した日から私達の話が広まるのは本当に早くて
1週間もしないうちに美和子ちゃんや高木くんからお祝いを貰ったり、蘭ちゃんや少年探偵団のみんなも祝福してくれた。
右手につけていた指輪も堂々と左手薬指にはめることができ、
色んな人に冷やかされ恥ずかしくなる時もあるが…
私はすごく幸せな日々を送っていた。
しかし……一つだけ問題がある。
私は今日、仕事が休みなのでポアロを訪れた。
店のドアを開けると、
すごい勢いで近付いてくる金髪の店員さん。
この人が悩みの種です。