第70章 報告
2人でトイレを出て私が着替えている間に
零くんは朝ごはんを作ってくれたので、食べ終わったところで話をする事にした。
『これから私のお腹が大きくなったら、他の人達にも零くんと結婚したことバレちゃう…よね?』
「まぁ、そうだな…隠し通せる事じゃないし。」
『零くんの本名知らない人達に会わないように生活するなんて出来ないし
組織の潜入捜査だってやりにくくなるんじゃない?』
梓さんや蘭ちゃん達にも子供ができた事を話したとして
全員に口止めして内緒にしてもらうことなんて絶対不可能だ。
零くんが結婚してて…しかも子供までいるなんてその組織にバレたら、私を狙って零くんが危険な目に遭うかもしれない…
それだけは絶対に避けたい。
だから……わたしは…
零くんは少し考え込んだ後、ダイニングの椅子から立ち上がって
リビングのソファーに座り、私の方へ両手を広げていた。
「美緒、こっちおいで。くっつきながら話したい。」
『っ…え…?』
急にどうしたんだろう…と思っていると
零くんは「ん。」と言って、早く来いと催促しているようで…
私は大人しく彼の元へ近付き、零くんの脚の間に座らされて後ろから抱き締められた。
「美緒が何を考えてるのかなんとなく分かった。
…1人でこの町を出ていこうって考えてるんだろ?」