第70章 報告
帰りの車の中…
零くんのFDはスポーツカーだから振動がすごくて
以前の私なら全くそんなこと気にならなかったけど
今はその振動でさえ気持ち悪くなってしまった。
車で吐くのは流石に堪えたけど
家に着いてからすぐトイレに駆け込んだ。
そして私が吐いている間、零くんはずっと背中をさすってくれた。
『うー…気持ち悪いー…死ぬー…』
「本当に代わってやれたらいいんだけどな…」
『頑張って耐えるよ…安定期入れば落ち着くはずだから…。』
家のことは零くんがやってくれると言ってくれたので
私は口をゆすいでからリビングのソファーに座って寛ぐことにした。
そして
一通り家事を終えた零くんは私が座っているソファーに近づいてきた。
「晩ごはん作ってくるからそのままゆっくりしてろよ?」
『うん…ありがとう。
零くんも疲れてるのにごめんね…?』
「僕のことは気にするな。
そんなに疲れてないから大丈夫だ。」
うーん…
最後に会った時より隈がひどいから
疲れていないわけがないよね…。
私が気にしないようにそう言ってくれる零くんは本当に優しい人だ。
『ふふっ、零くん大好き。』
「…っ、急にどうしたんだよ。」
『なんか言いたくなった!』
「しばらく襲えないんだから
あまり可愛いこと言わないでくれ。」
……。
別に言ってないよね…?私の素直な気持ちなのに。
零くんは少し照れてしまったようで
顔を赤くしながらキッチンの方へ向かって行った。
そんな彼を心の中で笑いながら愛しく感じていると
零くんはコップを片手にすぐリビングに戻ってきた。
「脱水症状にならないように吐いた後はちゃんと水分摂れよ。」
…と言われたので、コップに入った飲み物を口に含んだ。