第70章 報告
「心配したぞ。大丈夫なのか?」
『うん…仕事中なのに来てもらっちゃってごめんね…?』
「仕事はもう終わったから気にしなくていい。
…それより貧血ってどういう事だ。
ちゃんと食べてなかったのか?」
『えーっと……食べても全部吐いちゃってたから…』
「!?そんなに悪いのか!?
すぐ医者を呼んで検査してもらうぞ。」
『待って待って!検査はもうしたの!
私病気じゃないから!!』
零くんはすごく焦った表情で病室を出て行こうと立ち上がったので
私は彼の手を掴んで引き留めた。
「病気じゃないって…?どういう事だ?」
……なんで普段は頭の回転早いのにこういう事は分からないのかなぁ。
私は握っている零くんの手をギュッと強く握り、
彼の瞳を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。
『私ね……妊娠、しちゃったみたい…。』
「…え………妊、娠……?』
『うん…今3ヶ月に入ったところなんだけど悪阻がひどくて…今日貧血で倒れたのもそれが原因。』
「…今度は…本当なんだよな?」
『エコー写真あるよ。』
写真を見せると、零くんはしばらく目をパチクリとさせていたが、
頭の中で理解し終わったであろう彼は
ベットに座っている私を優しく抱きしめた。
「…ごめんな、美緒。」
『え…?』
「お前がそんな辛い時に側にいてやれなくて…
3日間も仕事で家に帰れなくて……1人にしてごめん。
…僕達の子供、産んでくれるか?」