第70章 報告
目が覚めると視界には白い天井。そして消毒液の匂い。
…きっとここは病院なんだとすぐに分かった。
ゆっくりベットから起き上がると腕には点滴が施されていて
どうして病院にいるのかを思い出していると病室の扉が開いた。
「あ、美緒ちゃん起きたのね。具合はどう?」
『大丈夫です。
あの、私…事務所で倒れちゃったんですよね?』
病室に入ってきたのは梢さんで
話を聞いたところ、貧血で倒れた私を会社の車で病院まで運んでくれたそうだ。
『ご迷惑をおかけしてしまって…すみませんでした…。』
「そんな謝らなくも大丈夫よ。
でも倒れるくらい辛いなら仕事は休まないとだめ。
今回はお腹の赤ちゃんも無事だったけど…何かあってからじゃ遅いんだからね?」
『はい…。気をつけます。』
床に倒れる前に梢さんが抱き止めてくれたおかげで
赤ちゃんが無事だったと思うと、梢さんには感謝してもしきれないな…。
私は点滴が終われば帰ってもいいそうで、
梢さんに何度もお礼を言っていると、病室の扉が勢いよく開いた。
「美緒…!大丈夫か!?」
『え……!?えぇ?零くん…?何でここに?』
零くんが来たことに驚いていると、
そばにいた梢さんが説明してくれた。
私が倒れた事を零くんに伝える為に
梢さんが風見さんに連絡してくれて、迎えを頼んでくれたそうだ。
私に何かあった時は風見さんに連絡するようにと、梢さん達には番号を教えていたからね。
「じゃあ美緒ちゃん、私は先に帰るね。
旦那さんにもちゃんと話さないとだめよ?」
『はい!ありがとうございました!』
「明日は休んでいいって社長が言ってたから
ゆっくり休んでね。」
零くんと一緒に病室を出ていく梢さんに頭を下げて見送り
扉が閉まると零くんはすごい勢いで私に近づいて来た。