第70章 報告
side 降谷
「降谷さん、お疲れ様でした。」
「ああ……さすがにちょっと疲れたよ。」
潜入中の組織による任務を言い渡されて
ヒロと一緒に3日間県外に行き、会合にも参加して
先程警視庁公安部に戻ってきた。
組織の任務の時は美緒と連絡を取らないようにしているから
もう3日もあいつの声を聞いていない。
美緒と再会するまではこんなこと全然平気だったのにな…
結婚してから顔を合わせる回数は増えたが
会えない日が続くと、あいつに早く会いたくなって…恋しくて仕方がなくなる。
時刻は夕方5時過ぎ。
ヒロはもうすでに帰宅して、僕も少し早いが
帰り支度をして家に帰ろうと思い席を立ったところで、風見のスマホが着信した。
風「若山さんの会社の方から電話です。
…はい、風見です。」
風見は僕にも聞こえるようにスピーカー状態にして電話に出た。
梢「急に連絡してすみません。今お電話大丈夫ですか?」
風「大丈夫です。何かあったんですか?」
梢「美緒ちゃんのことで降谷さんに知らせたいことがありまして…。」
美緒のこと?
あいつに何かあったのか…?
僕はそのまま風見のスマホに向かって梢さんに声をかけた。
「降谷です。美緒に何かあったんですか?」
梢「あ、聞いていらしたんですね。
実は……今日美緒ちゃんが職場で倒れたんです。」
風「!?」
「倒れたって…美緒は大丈夫なんですか!?」
梢「えっと…倒れたのは貧血が原因みたいです。
今は米花中央病院にいるので迎えに来て頂けますか?」
「分かりました、すぐ向かいます。」
梢さんにそう伝えた後、鞄を手に取り風見に声をかけた。
「あとは頼むな。」
「は、はい!お気をつけて!」
急いで警視庁を出て車に乗り込み、かなりのスピードを出して病院に向かった。
美緒が仕事中に貧血で倒れるなんて
今までに一度もなかったから心配だ。
僕がいなかった3日間、ちゃんと食べていなかったのか?
家に帰ったら鉄分たっぷりの食事を作ってやらないと…
そんなことを考えながら車を走らせていると病院に到着し
車を降り、走って病院の中に入った。