第69章 異変
「最終月経からカウントすると、現在妊娠3ヶ月ですね。
おめでとうございます!」
診察が終わった後に渡されたエコー写真を見ると
まだ手足も分からない小さな袋がポツン、と映し出されていた。
…この子が……零くんと私の赤ちゃんなんだ…。
子供が出来たことの喜び、
親になることへの不安、
妊娠しているという驚き…
色んな感情が一気に押し寄せてきて
私は女医さんの前で涙を流してしまった。
「…初めての妊娠でとても不安ですよね?
でも大丈夫。不安なのが当たり前なんですから。」
女医さんはみんな一緒だよ。と言い、
私に優しい笑顔を向けてくれてその言葉にかなり救われた。
不安なのは私だけじゃないと分かり
世の中のお母さんがみんな私の味方のように思えた。
「ご主人にはもう話しましたか?」
『いえ…まだ何も話していません。』
「これからはご主人の支えがとても大事になってきます。
家に帰ったらちゃんと話してあげて下さいね。」
支え、かぁ…。
零くんは…私の妊娠を知ったらどう思うのかな…。
結婚してから半年くらい経ったけど、何度か避妊しない事があったから
子供が出来ても大丈夫、って思ってくれているんだろうけど…
直接聞いたわけじゃないから、喜んでくれるかどうかはわからない…。
でも例え零くんが産むことを望まなかったとしても、
私の中には『産む』という選択肢しかない。
そう思ってしまうくらい
私はもうお腹の子が大事で愛しくて仕方がないんだ。