第68章 謎解
『西野さん、手品師ですよね?』
西「!!」
『安室さんが持ったトランプを見て言ってましたよね?
裏向きに札を重ねた1番上のカードを"トップ"って。
…それは手品師がよく使う用語ですから。』
郁「…あ!だからあなた
みんなの職業を私に聞いてきたの!?」
『えぇ、本人に聞いても誤魔化される気がしたので。』
西野さんの表情からすると
彼は本当に手品を得意としているようだ。
小「マジシャンなら抜き取る事なんてお手のもんだろ。
藤出さんから水をもらった時、バックに何も書いていない暗号表の束を仕込んでたようだしな。」
西「そ、そこまで言うならよ…あの暗号は解けたのかよ!」
解けていないわけがないでしょ…
全ての謎が解けたから
みんなで藤出さんの後を追ってこの書斎に来たんだ。
「この廃教会に9人の人間を集めたのは
トリックのために
クジの枚数を"9"にしたかったのもありますが…
暗号を解くヒントにもなっていたんですよ。」
『そう、それは…野球です。』
最初に殺された和田さんのことを"女房"と言っていたのは
和田さんがキャッチャーだったから…
古い言い方だけど、野球界で捕手のことは女房と呼ばれている。
つまり、西野さん達はみんな
高校時代は野球部だったということだ。
『野球がキーワードならあの暗号はすぐに解けます。
高校野球は守備位置によって背番号が決まっていますし…
暗号にあった3×3の太い線は内野を表しているんですよね?』
「そう…
あとは背番号順に9つの文字を読めばいいだけです。」
毛利さんに届いた手紙に同封されていた暗号と
彼らに届いたメールの暗号には
[さぁ、プレイボールだ]
次に礼拝堂のドアに貼ってあった暗号は
[トイレでワンナウト]
みんなで探した部屋の先にあった暗号はすべて
[風呂場でツーアウト]と書いてある。
そして川崎さんの遺体のそばにあった暗号には
[書斎でチェンジ]
先ほど西野さんが藤出さんに渡した暗号は
完全犯罪を意味する[パーフェクトゲーム]となる。