第67章 教会
『やっぱり零くんってすごいね?
いつも私のモヤモヤ取っ払ってくれる。』
「まぁ長い付き合いだからな。それに…」
『?それに…何?』
「…僕と美緒はもう正真正銘の夫婦だろ?
お前が悩んでたら力になりたいんだ。
言いたい事は言い合って意思疎通が図れて
時には互いを助け合って支え合う……
美緒とは永遠にそんな関係でいたいと思ってる。」
『っ…』
また心臓ごと持っていかれた。
世の中にはそんな理想像の夫婦なんて数少ないはずなのに…
零くんに言われると
私達もそうなれそうな気がするから不思議。
『こんな状況じゃなきゃ今すぐ零くんに抱き付いてるよ…』
「それは帰ってからにしてくれ。
流石に今ここで美緒を抱くわけにはいかないからな。」
…私は別にそこまで言ってない。
でも真面目な顔でそんな事を言っている零くんがおかしくて
私はプッと吹き出して笑ってしまった。
『ふふっ…ありがとう零くん。戻ろっか!』
私の顔を見て零くんも安心したように微笑んでいて
2人で手を繋ぎながら礼拝堂までの通路を歩いた。
絡め合っている指にギュッと力をいれると
同じように零くんも握り返してくれて…
それだけで私はすごく幸せな気分になった。
礼拝堂の入り口で繋いだ手を離し中に入ると
毛利さんが電話で話しているところで…
どうやら基地局のアンテナは復旧したようだった。
電話を一方的に切られたみたいだが
トンネルの除雪作業はもうすぐ終わるらしく
あと3時間後くらいに警察が迎えに来てくれるそうだ。
西「冗談じゃねーよ!
あと3時間も殺人犯がいるかもしれないこの場所で
大人しくじっと待ってられるかっての!」
藤「でも3時間待てば迎えが来るんだし
それまで我慢すれば…」
西「けどその3時間で
また誰かが何かの方法で殺されたらどうすんだよ!」
西野さんの言う通り
まだ犯人がここにいるのは間違いないけど…
絶対にもう殺人なんか起こさせない。