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《降谷夢》bonheur {R15}

第67章 教会



小「とにかく、電話が繋がるようになるまで
礼拝堂であの暗号の答えでも考えるとするか。」


自己嫌悪に陥っていると毛利さんにそう言われ
全員で礼拝堂に戻るために歩き出し
階段を降りた所で零くんに肩を叩かれ振り向くと…


「あの、毛利先生。
美緒さんがまたトイレに行きたいようなので
僕は彼女に付き添います。先に礼拝堂に戻っててもらえますか?」


…ん?!
私そんな事言ってないんだけど…?


小「おー。んじゃ、先に行ってるからな。」


全員の姿が見えなくなったところで
零くんは私の手を握り、トイレに向かって歩き出した。



『あの…零くん?
私トイレならさっき行ったから大丈夫だよ?』

「知ってる。」


知ってるのになんでまたトイレ…?

零くんの意図が分からないまま手を引かれ歩いていると
トイレに到着し、繋いでいた手を離し私の方へ体を向けた。



「美緒…大丈夫か?」

『え…?』

「勘違いならいいんだが…
何か思い詰めたような顔をしているように見えたから。」

『…。』



あぁ…もう…
やっぱり零くんは私の事をよく見てくれているんだね。

こんな状況でも私を気にかけてくれる零くんが愛しい…

でもそれと同時に
隠し事をできる気がしなくて少しだけ恐ろしくも思った。




「僕には言えないことか?」

『そうじゃなくて…
私が川崎さんを止められなかったら…だからあんな事に…
ごめんなさい…。』

「あの人が亡くなったのは美緒のせいじゃない。
だから謝るな。」

『でも…』

「あの時ああすればよかった、
こうすればよかったって後悔しても遅いんだ。
今はこれ以上誰も犠牲者を出さず
事件を解決することを最優先に考えよう。」


私の両肩に手を置き
言い聞かせるように話す零くんの声はとても真剣で…

言葉には出さなかったけど
自分を責めるな、と言われているみたいだった。


だって薄暗い中でも私を見つめるその瞳は
いつもと同じようにとても優しい眼差しだったから…



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