第67章 教会
side 降谷
美緒が郁絵さんと2人でトイレに向かい
礼拝堂には男性陣だけになり、火の近くで体を暖めていた。
「…。」
コ「安室さん、美緒さんのこと心配?」
「…まぁ、ちょっとね。」
燃えている火を見ながら
美緒が無事に戻ってくるのを案じていると
コナン君は僕の表情を見て彼女を心配しているんだと分かったんだろう。
…相変わらず、子供とは思えない程の観察力だな。
藤「あの、あなた達はあの女性とどういう関係なんですか?」
コ「あの女性って…美緒さんのこと?」
西「郁絵が言ってたように雑誌に載ってたって事はモデルか何かなのか?確かにすげー美人だったもんな!」
川「藤出くんは昔から美人が好きですよね。
ここを出られたら連絡先でも聞いたらどうですか?」
藤「い、いや……俺は別に…」
「…。」
薄暗い中でも藤出さんが頬を赤く染めているのが分かり
心の中で何度も舌打ちをしながら彼らの話を聞いていた。
美緒に連絡先を聞く…?
そんな事させるわけがない、あいつは僕の嫁だ。
だが結婚していることはこの中でコナン君しか知らないわけで…
西「とりあえず恋人いるかどうかだけ聞いてみろよ。」
川「そうですね、それくらいなら失礼にはならないですし。」
藤「そ、そうかな…?」
3人が話しているのを黙って聞いている僕を
コナン君と毛利さんが同情するような目を向けていた。
このままだと本当に美緒が声をかけられそうなので
それを阻止するために、僕は黙っているのをやめた。
「恋人……いますよ。」
藤「?…え?」
「美緒さんは…僕のです。
なので連絡先を聞くなんてことはしないで下さい。」
無理矢理作った笑みを向けながらそう言うと
3人揃ってバツが悪そうな顔をし、
その後の彼らは美緒の話を出す事はなかった。
本当は結婚していると言いたいのに
そう言えないだけでこんなに悔しい思いをするとは思わなかったな…
何となく気まずい雰囲気が流れていると
トイレから美緒と郁絵さんが礼拝堂に戻ってきた。