第66章 長野
数分歩くと教会の前に到着し、
森の中にそびえ立つ教会を見上げた。
小「依頼人はまだ来てねーのか?」
「みたいですね……とりあえず中に入って待ちましょう。」
『…。』
コ「美緒さん?どうかしたの?」
『…ううん。なんでもない…。』
入り口の近くに立っていた看板が気になったけど…
とりあえず今は気にしないことにして
みんなの後に続いて教会の中に入った。
中はかなり老朽化していて、壁や床は汚れているし
少し不気味な雰囲気が漂っていた。
『使われなくなってから結構経ってるようですね。』
小「確かに…悪い霊とか棲みついていそうだ。」
あはは…
オバケ嫌いの蘭ちゃんは来なくて正解だったかも。
通路をひらすらまっすぐ歩いていると
扉が開いている場所に辿り着き、中に入るとそこは広い礼拝堂だった。
参列者用の椅子には1人の男性が座っていて
私達が来たのを見て立ち上がった。
?「あれ?アンタらもニッチのお別れの会の参加者かい?」
小「ニッチの…?」
「お別れの会…?」
その男性の言っている意味が分からないでいると
私達の後ろからまた1人、別の男性が礼拝堂に入ってきた。
?「おいおい、知らねーわけねーだろ?
2ヶ月前にここで自殺したっていうニッチだよ!
お前らそれを知らずに吹雪の中こんな山奥の廃教会に来たのか?」
?「あら…この辺ってパワースポットとして有名らしいわよ?
まぁ、私達が高校生の頃の話だけどね。」
?「無駄話はそれくらいにして、さっさと終わらせましょう。
忙しい中時間を割いて来たんですから。」
?「だな。ここ暖房の設備はねーし
久しぶりに会ったんだから早く終わらせて
あったけー鍋でも食べに行こうぜ?」
1人かと思ったらさらに2人の男性と1人の女性が現れた。
その人達はどうやら知り合いようで、同じ高校の同級生なんだとか。