第64章 幸福
松「ゼロ…俺が公園で言ったこと覚えてるよな?」
「あの時もお前に約束したけど
美緒のことは必ず幸せにするし
あいつの笑顔はこれからも僕が守ってみせるよ。」
僕がそう言うと、松田はフッと笑って拳を突き出した。
松「約束破りやがったら、ぶん殴りに行くからな。」
「ああ。」
僕も自分の拳を突き出して松田と拳同士を合わせた。
萩「よし!じゃあまだ時間あるみたいだし
降谷ちゃんもおめかししよう!!」
「は?いや、別にいいよこのままで。」
諸「確かにそのままでもイケてるけど、
髪型少し変えてみようよ。」
「本当にいいって…。」
松「任せとけって。
美緒が惚れ直すくらい男前にしてやるからよ!」
…いいって言ってるのに無理やり椅子に座らされて
櫛やワックスを使ってみんなに髪を弄られた。
主に手先が器用な松田や萩原が整えてくれて
前髪は横に流し、サイドの髪を片側だけ耳にかけるヘアスタイルになっていた。
伊「男前がますます男前になったな!」
萩「だろー?俺ら天才!」
「自分で言うなよ。…ありがとな。」
みんなに礼を言っているところで部屋のドアがノックされる音が聞こえて
美緒の支度が終わったと従業員の人が知らせに来たので僕達は部屋を出た。
みんなとは途中で別れ
僕はエレベーターの前で1人待っていた。
数分経つとエレベーターの扉が開き、純白のウェディングドレスに身を包んだ美緒が姿を現した。
「…っ……。」
ベールが下げられている状態で
ゆっくりと僕と視線を合わせた美緒があまりにも美しくて言葉が出なかった。
美緒に似合うと思って僕が選んだドレスだけど…
想像していたよりも綺麗すぎて僕は思わず息を呑んだ。
安室透を演じている時なら女性を喜ばす言葉くらい
いくらでも出てくるはずなのに……
頭の中では何か言わなければと分かっているが
美緒の美しさに魅了されてしまい
ただただうっとりと見惚れ続けた。