第64章 幸福
松「ヒロから聞いた時は驚いたぜ。
まさかお前が式挙げるとは思わなかった。」
「披露宴は流石に無理だけど
美緒の為にせめて簡単な挙式だけはやりたかったんだ。」
伊「美緒の奴、今頃すげぇ驚いてるだろうな。」
諸「ははっ、間違いなくそうだろうね。」
萩「きっと綺麗だよなー…
美緒ちゃんのドレス姿。俺ちょー楽しみ!」
…そんなの言うまでもなく綺麗に決まってるだろ。
みんなも僕と同じようにあいつのドレス姿を想像してるのか、ぼーっとした顔をしていた。
伊「うーん…なんだか妹を嫁に出す気分だな…
俺泣きそう…」
萩「班長、それはまだ早い。」
諸「せめて式が始まるまで堪えないと。」
松「班長が泣いたらしっかり写真に収めてやるよ。
そんで捜一の連中に見せる。」
伊「!!やめろ!」
「ははっ。」
相変わらず5人揃うと騒がしいが
少しだけ緊張していた僕はみんなのお陰で落ち着いた。
普段仕事が忙しくて
こんな風に5人揃う機会なんてほとんどないが……
美緒と再会してからは、みんなと会える回数も増え
あいつのお陰で彼等との絆も深くなった気がする。
……結婚式の前になると、感慨深くなるものなんだな…。
「みんながいてくれたおかげで美緒と再会できた。
……心から感謝してる。
僕と友達でいてくれて…ありがとう。」
僕の言葉を聞いたみんなは一瞬ポカンとしていたけど
すぐに笑顔を向けてきた。
伊「これからも俺達はずっとダチだろ?」
萩「そうそう!礼なんていらねーって。」
諸「困った時はいつでも頼れよ。」
みんなが僕に言葉を投げかける中、
松田は僕の正面に立ち真っ直ぐに僕を見つめてきた。