第64章 幸福
信号待ちになったところで美緒を見つめていると、僕の視線に美緒が気づいた。
『ん?なに…私の顔に何かついてる…?』
「いや?美緒は可愛いなって思って。」
『!?な、何言ってんの!? あ、ほら!信号青だよ!』
「ふっ…はいはい。」
顔を真っ赤にさせながら信号を指差している美緒。
そういう照れ屋なところは昔から全然変わってなくて可愛すぎて仕方ない。
休憩を挟みながら数時間運転した後、
僕達は宿泊予定のホテル兼結婚式場にやってきた。
適当な理由で美緒を1人でホテルのロビーへ向かわせ
僕も車を停めてからホテルの中に入った。
そして事前に聞いていたホテルの一室に向かい
自分の身支度を整えた。
結婚式の主役は女だから、男の準備なんて大して時間はかからない。
まだ美緒の準備に時間がかかるだろうから
僕は窓際の壁にもたれて海を眺めていると
部屋の扉がノックされる音が聞こえて
返事をすると扉が開き、警察学校からの同期であるみんなが顔を出した。
松「よう色男。祝いに来てやったぞー。」
伊「タキシード、よく似合ってるな!」
萩「イケメンは何着ても似合うんだな〜。」
諸「おめでとう、ゼロ。」
「みんな……今日は来てくれてありがとう。」
みんなは普段着ているビジネススーツとは異なるフォーマルなスーツに身を包み、僕が待機していた部屋にぞろぞろと入ってきた。