第64章 幸福
そして翌日からも
仕事をしながら式の準備を進めていたから
家に帰る時には体が常にヘトヘトで、
そんな僕を美緒は毎日心配していた。
家に帰るのが遅いのはいつもの事だけど…
僕を見ていつもより疲れた顔をしている、と美緒に言われた時は少し焦った。
美緒は自分のことには鈍感だけど、なかなか鋭いところがあるからな。
『零くん、あんまり無理しないでね?』
「美緒と気分よくデートできるように
いつもより多く仕事を片付けてるだけだ。
だから心配しなくても大丈夫だよ。」
美緒の頬にちゅっ、とキスを落とすと
彼女は少し照れ臭そうに頬を赤く染めていた。
その時の美緒の顔が可愛すぎて
僕はそのまま美緒を寝室に連れ込んで彼女を抱いた。
本当は毎日シたいところだが
あまりがっつくと美緒に嫌われるかもしれないから
自分を抑えているけど…
今日みたいに美緒を抱く時は
いつも容赦なく抱き潰しているから、別の日に抑えている意味はないのかもしれない。
ーーー…
そして1ヶ月が経ち、
仕事をしながらなんとか式の準備をし終えることができて
江ノ島に行く日を迎えた。
運転する僕の隣で楽しそうにしている美緒を見るだけで
僕も幸せな気分になった。
『零くんなんだかすごく楽しそうだね。』
「美緒と久しぶりのデートだからな。」
…それに、一泊で出掛けるなんて久しぶりだし
あと数時間後には美緒の花嫁姿も見られるからな。
楽しみすぎて自然と笑顔になるんだよ。
「今日は時間もあるし
ゆっくりドライブしながら下道で行こうな。」
…ただの時間調整の為だけど
美緒はそんな僕の言葉を疑いもせずに
ずっとニコニコしているから本当に素直で可愛い。