第64章 幸福
今日はゆっくりドライブも楽しみたいと零くんから言われていて
江ノ島が見える場所に着いたのは11時頃だった。
『わぁ…!
久しぶりに来たけどやっぱり海っていいね!』
「美緒は本当に海が好きなんだな。」
前に来た時も思ったけど
綺麗な海を見ていると心がすごく落ち着くんだ。
…零くんの瞳の色と似てるし。
もうすぐ江ノ島に到着する、と思ったら
車は近くにあるホテルの中に入った。
「先に荷物だけ置きに行こう。
美緒の分も僕が持って行くから先にロビーに行っててくれ。」
『うん…?ありがとう…。じゃあお願いします。』
2人で一緒に持っていった方が早いと思うんだけどな…
不思議に思いながらもホテルの入り口に車を停めてもらって
零くんに言われた通り私は1人で先に車を降りてからホテルの中に入り、受付近くの椅子に座って彼を待つことにした。
そんな私の元へ1人の女性従業員が近づいて来た。
……なぜかすっごく笑顔で。
「若山 美緒様ですね?」
『え…?
あ、はい。そうですけど…。』
「ご主人様からご案内するように仰せつかっておりますのでこちらにどうぞ。」
んん?
いや、案内って……どこに?
ただ観光する前に荷物を置きに来ただけなんだけど…
理由がわからないまま従業員の人に案内されて
ホテルの一室の扉の前にやって来た。
従業員の人がドアをノックするとすぐに扉は開いて
その部屋の中から私の友人達が顔を出した。
『瑞希と…エリス!?なんで2人がここにいるの!?』
いるはずのない2人がなぜか部屋から出て来て
私は1人でパニック状態。
彼女達も従業員の人と同じようにすごく笑顔だった。
瑞「はいはい。とりあえず中入って。」
エ「そうそう!時間ないからね!」
いや、時間って何!?
瑞希とエリスは頭の中が混乱している私の腕を引っ張って
部屋の中に招き入れた。