第62章 約束
『も、諸伏くん!零くんには言わないで!』
「…。ヒロ、早く教えてくれ。」
『だめだめ!絶対言っちゃだめ…っ、んんーー!』
大きな声で話さないでと訴えていると
零くんに手で口を塞がれて喋れなくなってしまった。
やっぱり零くんは男の人なだけあって
すごい力で口を塞ぐから暴れて逃れようとしてもびくともしなかった。
諸「殺人事件が起きたのは女風呂だったみたいでさ、
兄さん達長野県警が現場に駆けつけたら
美緒ちゃんは裸の状態で刑事達を迎えたらしいよ?」
松・萩・伊「「「はぁ!?」」」
「裸って……美緒!お前な!」
『っ、違う違う!!誤解だよ!!
ちゃんと体にバスタオル巻いてたから!』
零くんは驚きのあまり私の口元から手を離したので
ちゃんと弁解をさせてもらった。
『私も一応事件の容疑者だったからさ…
凶器も遺体のそばになかったし…。
そういう時は…ほら、服着たらダメでしょ…?』
伊「まぁ…
確かにその場合は身体検査しないといけねーからな…」
諸「それで美緒ちゃんは脱衣所の外で
1人で警察が到着するのを待って
現場の状況を兄さんに説明したんだってー。」
…なんでニヤついてるの諸伏くん!
私はすごく困ってるんだけど!?
零くんからめちゃくちゃ怖いオーラが出てるじゃん!
『…あの…っ、零くん…?怒ってる…?』
「っ、当たり前だろ!
他の男達に美緒の裸を見られたんだぞ!?」
『!?だから裸じゃなくてタオル巻いてたってば!』
「そんなの裸と変わらないだろ!」
『全然違うから!!
それにあの時は私以外にも女の人いたし
いくら警察の人でも男の人に肌見せるのは
きっと恥ずかしいだろうし可哀想じゃん!
だから私が代表して警察の人に説明したんだよ!』
松「お前なぁ……
だからってタオル一枚で男の前に出るなよ…」
萩「そうだよ美緒ちゃん…
男はそんな姿見ただけでやらしい想像しちゃうくらい
野蛮な生き物なんだから…」
…えー……そういうものなの…?
チラッと零くんの方を見ると
怒りを通り越してなんだか落ち込んでいるようだった。