第62章 約束
「美緒…
あなたが生きたいと強く願えばそれは叶うわ。
あなたはまだ死んでいないんだから。」
『でも……わたし…
やっと2人に会えたのに…もう少し一緒にいたいよ…。』
「バカだな美緒は…。
俺達は家族だろ?離れててもそれは変わらない。
これから先もずっと美緒の側で見守っててやるから。」
『本当に…?これからもずっと見守ってくれる?』
「ええ。もちろんよ……でも!今回は無茶しすぎ!!
起きた時には皆さんにちゃんと謝ること!いいわね!?」
『う……は、はい……。』
「母さんの言う通りだぞ。
お前はいつも周りの人に心配かけ過ぎだ。
……その人達のこと、大事にしなさい。」
『うん……分かった…!』
「美緒…元気でね。」
「美緒……またな。」
もっとたくさん話していたかったのに
2人の姿は急にスッと見えなくなった。
しかし今いる場所とはまた別の方向に光が差しているのを見つけて私はそこに向かって走った。
近付くとそこには私に背を向けたまま1人の男性が立っていた。
とても懐かしい……逞しい背中だった。
『え…前田さん…!?』
「よっ、若山。」
声をかけると
私が警察にいる時に世話になった前田さんがこちらを向いてくれた。
『こんな所で何してるんですか!?』
「お前に言っておきたい事があってな。」
『……?私に?』
「ああ。お前、自分の命犠牲にして
大事な人達守ろうとしてたみたいだが…
俺はお前にそんな守り方教えた覚えはねぇぞ?」
『いや、でも…
あの時はああするしか思い浮かばなくて…』
「でもじゃねぇ!ああいう時はとにかく時間稼ぐんだよ!
現にお前の恋人と友人達がすぐに突入してきてただろうが!
なんでそいつらのこと信用してやらねぇんだよ!
このドアホが!」
『す、すいません!
二度とこんなことしないので許して下さい!!」
久しぶりに前田さんが怒るところを見たけど
相変わらずめちゃくちゃ怖かった…
ガタガタ震えてしまうほどに。