第62章 約束
……暗い…
目を開けているはずなのに私の目の前は真っ暗闇。
…………ああ、そうか……
私死んじゃったのか…。
そりゃあそうだよね……
私が死ねばみんなが助かると思って
思い切り自分のお腹刺しちゃったんだから。
でも後悔はしてないよ?
みんなを守る方法が他に思いつかなくて……
私の命一つでみんなを守れるなら……
死ぬのなんて怖くなかった。
……あとはゆっくり眠るだけだ。
瞼を閉じようとすると
急に一筋の光がパッと照らされたので、閉じかけていた目を開けた。
少し離れた位置にあるその光に向かって歩くと
私に向かって手を振っている人物が2人いた。
『うそ……父さんっ、母さん!!』
私は走って2人に近づき、ギュッと飛びついたら
2人は優しく受け止めてくれた。
『会いたかった…!
ずっと2人に…っ、会いたかったよ…。』
「ごめんね、美緒。
寂しい思いばかりさせてしまって……。」
「美緒…お前のことをずっと見ていたが
本当に強くなったな。俺達はお前を誇らしく思う。」
2人は私を優しい笑顔で見つめていて
涙をポロポロと流す私の頭を撫でてくれた。
『寂しかったけど………
これからは家族3人でずっと一緒にいれるでしょ?
だから許してあげる。』
私がそう言うと、2人は少し困って表情をしていた。
「ねぇ、美緒。
あなたは本当にこのまま私達と一緒にいたい?」
『っ、当たり前じゃん!何でそんなこと言うの?』
「本当はまだ死にたくなかったんじゃないのか?
ずっと一緒にいるって約束していた人がいただろ。」
『……それ、は…』
だって……こんなところにいるってことは
私はもうきっと……助からなかったんだよ…。