第62章 約束
美緒…
お前の職場の人達は本当にいい人しかいないな。
お前は彼等のことを
いつも楽しそうに笑って僕に話してくれたよな。
あの人達のためにも……早く目を覚ましてくれよ…。
この3ヶ月間
毎日美緒の手を握って寝顔を眺めながら
心の中でずっと美緒に語りかけている。
声に出して話す時もあったが
美緒から返事がこない事に耐えられなくなってきて…
悲しくて辛くて…自分はこんなにも弱い人間だと思い知らされた。
美緒…………
お前には話したい事がたくさんあるんだ。
伝えたい言葉もある。
少し前からずっと考えていた事だ…
だから頼む……
早く起きてくれ……
僕をいつまでも1人にしないでくれ……。
「美緒………愛してる……。」
美緒の手を握ったまま
自分の顔に近づけてその温もりを感じていると
彼女の手がピクッと動いた。
「!!美緒……?
おい、美緒!!聞こえるか!?」
美緒の肩を叩きながら顔を覗き込むと瞼が少し動いていた。
「っ、美緒!」
何度か呼びかけると美緒の目がゆっくりと開き
久しぶりに彼女の綺麗な瞳を見ることができた。
『れ、い…くん…。』
「っ…」
美緒が僕の名前を呼んだ瞬間、
僕の目から涙が溢れ、頬をつたっていた。