第62章 約束
病室に入ると、今日は美緒の職場の人達が来ていた。
東「お、邪魔してるぞ。
毎日来てくれてありがとな。」
「いえ。綺麗なお花ですね。」
葉「あ、それはさっき赤井さんが来た時に生けていったんすよ。」
……最悪だ。
今すぐに捨てたくなったが花に罪はない為我慢した。
梢「それにしても…
美緒ちゃんってこんなにのんびり屋さんだったかしら?
いつもテキパキしてるのになんでまだ起きないのよ…。」
葉「まさかこのまま一生目を覚さないなんてこと…
ないっすよね…?」
2人は美緒に悲しそうな目を向けていたが
そんな2人に東さんが近づき、肩にポン、と手を置いていた。
東「大丈夫だ。
俺が若山と約束したこと、お前らも覚えてるだろ?」
「…約束?」
東「ああ。公安の協力者になるって決めた時にな…
絶対死ぬなよって約束したんだ。
若山が俺達との約束を破るわけねぇだろ?」
葉「…ははっ、そうっすね……!
こいつは殺しても死なないはずの強ぇ女ですから!」
梢「ふふっ、もう葉山くんったら…
そんなこと言ってたらまた美緒ちゃんに怒られるわよー?」
さすが一企業の社長なだけあるな。
社員をすぐに元気付けて立ち直させるなんて……
東さんが敬愛される理由がよく分かる。
美緒もこの人をとても慕っていたから…。
東「じゃあ俺達はそろそろ帰るか。
仕事に戻らないといけねぇからなー。」
葉「…ったく、若山がいないせいで
俺仕事ばっかでデートも出来てねぇんだからな!?
起きたらお前が俺の代わりにたくさん働けよ?」
梢「そうね…私もまた休みもらって旅行行きたいから
美緒ちゃんには頑張ってもらいましょう!」
東「俺はまた上等なウイスキー頼むわ〜」
……3人は眠っている美緒に言いたい放題言って
満足した様子で帰って行った。
彼らを見送った後
いつものようにベットのそばの椅子に腰掛けて
美緒のあたたかい手を握った。