第62章 約束
side 降谷
風「降谷さん…若山さんの具合はどうですか?」
公安部で仕事をしている最中、
風見が美緒の様子を僕に尋ねてきた。
「傷口はもうほとんど治ってきたが
……まだ起きる気配はないな。」
最初の頃は酸素マスクや心電図モニターをつけていたが
今はすでに外れているし、体の傷は癒えて呼吸もしっかりできている。
あとは…目を覚ますだけだ。
風見は何度か美緒の見舞いにこっそり行っているようだから
僕にわざわざ聞かなくても美緒の状態を知っているはずなのに…
僕にバレていないとでも思っているんだろうか。
ただ純粋に美緒のことを心配しているようなので
あえて突っ込まずにいる。
風見だけでなく他の部下達も美緒のことを気にしていて
なんとなく士気が下がっているように見えた。
でもみんなは
僕が毎日美緒の見舞いに行けるように時間を作ってくれている。
かなり無理しているはずだが彼らのその気持ちが本当に嬉しかった。
今日もこれから美緒の見舞いに行く予定だ。
昨日は松田達が来ていたけど
今日は一体誰が来ているんだろうな……。
美緒が一般病棟の病室に移ってから
毎日色んな人が彼女の見舞いに訪れていた。
全員と直接顔を合わせたわけではないが
美緒の病室に毎日少しずつ見舞い品が増えていってるのを見れば一目瞭然だ。
やはり広めの部屋を手配しておいたのは正解だった。
車で美緒のいる病院に到着してから
ダッシュボードにしまっていた箱を取り出して上着のポケットにしまい
美緒の病室に向かった。