第61章 擁護
ICUに入ってから
美緒が眠っているベットの側の椅子に座り
彼女の手を握った。
…あたたかい……
美緒の手はいつもすごくあたたかいから安心するはずなのに
先程医者に言われた言葉が頭の中をぐるぐると回っていて
今はただ不安でしかない。
美緒……
このまま目を覚さないなんてことないよな…?
ちょっと休むだけって言ってたもんな…。
それに…事件が解決したらデートするって約束しただろ?
お前の大好きな海がある江ノ島…
僕だってすごく楽しみにしているんだ。
トロピカルランドだってまだ行けていないだろ…?
美緒……
僕はお前を信じて待ってるから…
早く起きて、いつもみたいに綺麗な目で僕の目を見てくれ。
お前の可愛い声で僕の名前を呼んでくれ…。
「美緒……ごめん……
守ってやれなくて…ごめんな……?」
ギュッと強く手を握り締めた後、美緒の手にそっとキスを落とした。
僕はもう…
お前がいないと生きていけないんだ…
ずっと美緒の顔を見ながら手を握っていたが
ICUでの面会時間は数十分と決められており
看護師から終了の合図があったので美緒の手を離し、外に出た。
ICUの入り口から少し歩いたところにある談話室で
みんなは暗い表情のまま椅子に座っていた。
諸「ゼロ…」
「ヒロ、松田。お前達はもう病室に戻って休め。
ずっとここにいても今は何もできないんだ。」
諸「っ、確かに…そうだけど…」
「美緒は必ず目を覚ます。
だから今は…信じて待つしかない。」
萩「……そうだよな…俺達がいつまでも暗い顔してたら
美緒ちゃん絶対悲しむ。」
瑞「うん……美緒のことだから
きっとお腹が空いたら起きるよね。」
松「ふっ、ありえるな。
あいつ細いくせに食いしん坊だし。」
伊「違いねぇな。
またあいつの好きなチョコでも買って来てやるか。」
少しずつみんなに笑顔が戻って来たところで
僕はヒロの腕を自分の肩に回して立ち上がらせた。