第61章 擁護
「しかし…
出血量が多く心停止していた時間もあった為……
いつ目を覚ますのかは見当もつきません。」
「「!!」」
そんな……
それじゃあ………美緒は……
「彼女はもう二度と……
目を覚さないかもしれないってことですか…?」
…頼む……違うと言ってくれ…
早く…
早く否定してくれ…
心臓がドクドクと嫌な音を立てており
全身に嫌な汗が流れた。
そんな嫌な空気の中、
手術を担当した医師はゆっくりと口を開いた。
「あとは…若山さんの生命力次第です。」
松「っ、んだよそれ…!!」
松田は医者の胸倉を掴み、泣きそうな声で荒げていた。
松「ふざけんなよ!なぁ!あんた医者だろ!?
美緒みたいな患者を助けるのが仕事だろうが!」
「我々にできることは全てしました。
辛いお気持ちはお察ししますが…
今は若山さんを…信じるしかありません。」
その言葉を聞いた松田は力無く手を離し
医者はそのまま頭を下げて立ち去っていった。
僕達が手術室の扉の前で呆然としていると
再び扉が開き複数の看護師と、ベットで眠っている美緒が出て来た。
「若山さんはこれからICU(集中治療室)に入ります。
ご家族の方はいらっしゃいますか?」
諸「いえ…彼女の家族親戚はすでに亡くなっているんです。」
「そうですか…。
原則家族の方しか面会出来ないんですけど
いらっしゃらない場合は交際されている方でも入室できますが…」
看護師の言葉を聞いて、僕はその人に近づいた。
「…一緒に……行かせて下さい…お願いします。」
看護師の人は黙って頷いてくれて
僕はベットに横たわっている美緒を見つめながら
ICUに向かって歩き出した。