第61章 擁護
松「美緒のやつ…
いっつも人の心配ばっかりしやがって…。
本当にどうしようもねぇな…。」
松田はそう言いながら目を押さえていて、
萩原も班長は手を強く握りしめながら
悲痛な表情を浮かべていた。
瑞「美緒のお人好しは今に始まった事じゃないけど…
ここまで来るとただの馬鹿としか言いようがないわね。」
瑞希は笑いながらそう言っていたが
目からはずっと涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
諸「俺は美緒ちゃんになら殺されてもいいと思ったから
俺を刺すように言ったんだ。
でも彼女はそうしなかった……。
底なしの優しさを持ってるんだな、ゼロの彼女は。」
「…僕もいつも手を焼いているんだよ。
みんなの言う通り、美緒はただの馬鹿だな。」
みんなで美緒を馬鹿にしていることが本人にバレたら
きっといつもみたいにムッとした顔で怒ってくるんだろうな。
でも僕にとっては
美緒のそんな顔も可愛くて愛おしくてたまらないんだ。
早くいつもみたいに僕の名前を呼んで欲しい…
早くお前の笑顔が見たい……
そう思いながら手術室の扉を見ると
手術中、と点灯していたランプが消え中から医者が出て来た。
伊「先生!美緒は…?」
「…なんとか一命を取り留めました。」
とりあえずほっと一安心したが
その後医師から告げられた言葉は
僕達を絶望に叩き落とすには十分だった。