第61章 擁護
『零く、ん……そ…んな顔…しないで…?』
「…っ……」
『大丈、夫……これくらいで……死なないか、ら…。」
「!!美緒…っ…』
彼女の震える声を聞くだけで
自分の体が震えて体温が下がっているような感覚がした。
………怖い…
僕は……
美緒を失うのか…?
美緒のお腹から流れ出る血がアスファルトにシミを作り
それはどんどん大きくなって……
彼女が死ぬかもしれないという
今まで感じたことのない恐怖が僕を襲った。
『れい……く、ん……
…………だいすき……』
「!!そんな……最後の言葉みたいに言うな!」
許さない…
僕を置いて死ぬなんて……
絶対許さないからな……!!
『そうだ、ね…
まだ…………江ノ島…行ってない……か、ら………』
「美緒…?おい!目を閉じるな!僕を見てろ!!」
美緒はゆっくりと瞼を閉じそうになっていて
僕は手を握りながら必死で呼びかけた。
『ごめ……ん……
すこし…だ、け……休ませ…て……?』
「っ、だめだ!!頼むから起きていてくれ!」
まだ目はかろうじて開いているが
手を強く握っても美緒はもう握り返してくれなくなっていた。
伊「おい!救急隊来たから一旦離れろ!」
「美緒……美緒…!!おい!返事してくれ!!」
萩「ばか!離れろって!!」
班長と萩原に抑えられて
無理矢理美緒と引き剥がされてしまった。