第61章 擁護
私は富士崎からナイフを受け取り
諸伏くんの元にゆっくりと近づいた。
『諸伏くん…ごめんね。』
「何言ってんの…美緒ちゃんは何も悪くないでしょ?」
諸伏くんは最後まで私に優しくて
私の目からは再び涙がポロポロと流れ落ちた。
「さぁ、早くこの男を殺せ!!」
「ははっ!ゾクゾクしてきたよ!!」
私は両手でナイフを振り上げて
諸伏くんの方を見て微笑んだ。
「え……美緒ちゃん…?」
『諸伏くん…………
ばいばい………』
「っ、美緒ちゃん!やめろ!!」
「「っ…!!!!」」
私は振り上げていたナイフを
自分のお腹に躊躇わず突き刺した。
「美緒!!!」
ああ……零くん、やっと来たんだ…
遅いよばか…
でも……来てくれてありがとう…
お腹を刺してからすぐに扉が開く音がし、零くんの声が聞こえた。
私は激しい痛みに耐えきれなくて足元からゆっくり崩れ落ち
地面に倒れそうになったところで零くんに抱き止められた。