第61章 擁護
富士崎親子は私の方へと近づいて来て
持っていたナイフを私に差し出した。
「お前がこの男を殺せ。」
『!!な、にを……言ってるの…?」
「君がこの男を殺せば、
俺達はもう二度と君の大事な人達には手を出さない。
どう?悪い話じゃないでしょ?」
『そんなこと…出来るわけないじゃない!!』
私に諸伏くんを刺せだって?
そんなの無理…絶対無理!!死んでも無理!!!
私がひたすら拒否していると富士崎達は2人で顔を見合わせてニヤついた。
「……降谷 零。」
『っ!!』
諸「!?」
なんで……?
なんでこいつらが…
零くんのこと知ってるの…?
「君のその反応から見て
あの金髪の男、恋人なんでしょ?
調べるのにすごく苦労したよー。」
『っ、零くんには何もしないで!!』
「だったらお前が決めろ。
今ここでこの男を刺し殺せば
お前の恋人も、友人にも今後一切手出しはしない。」
何それ……
そんなの選べない……選べるわけないよ……
どうすればいい…?
どうすればみんなが助かるの…?
落ち着いて考えようとするけど
何もいい方法が浮かんでこなくて絶望していると
諸伏くんが私に声をかけて来た。
諸「美緒ちゃん……
俺を刺すんだ。それしか助かる方法はない。」
『だから…っ、そんな事できないって!』
諸「大丈夫…。
俺が死ねばコイツらを捕まえる事が出来る。
二度と君の周りの人が傷つくこともないんだ。」
諸伏くんは私の目を真っ直ぐ見て話しており
彼の覚悟が嫌ってほど伝わって来た。
「さぁ、答えを聞こうか。」
…分かったよ、諸伏くん。
私もあなたと同じように覚悟を決めたよ。
みんなを守るためには…
この方法しか…ないよね…?