第60章 陥穽
side 降谷
美緒と病院で別れてから僕はヒロの手掛かりを見つけるため、
警視庁に来ている。
公安の部下達にはまたいつ襲われるかも分からないので
出来るだけ単独行動はしないように
必要最低限以外の外出はするなと命じてきた。
僕は公に捜査することもできないし
富士崎が脱獄した件は極秘の為、
1人で警視庁のシステム課の一室で防犯カメラの映像を見て
富士崎の行方を追っていた。
風見が撃たれた場所から富士崎が逃げた場所が
新宿のどこかであることは分かったが…
途中で防犯カメラに全く映らなくなってしまったので
それ以上は何も分からなかった。
とりあえず新宿に向かい怪しいビルや倉庫を片っ端から回っているが、正直言ってキリがない…。
あっという間に日が暮れて夜になっていた。
早くしないと本当にヒロが殺されるかもしれないし
今度は美緒に危害が及ぶかもしれない…
そうなる前に早く見つけないと…
焦る気持ち落ちつかせ、再び捜索を開始しようと歩き出したら
コナン君から電話がかかって来た。
「コナン君、どうした?」
「安室さん…美緒さんが新宿にいるみたいなんだけど何か聞いてる?」
「っ、なに!?それは本当か!?」
「美緒さんの車に乗った時、念の為発信器付けておいたから間違い無いよ!
でも今は車を何処かに止めたみたいで動きがないんだ。」
「場所を教えてくれ!すぐ向かう!」
コナン君から詳しい場所を聞いて向かうと
そこはパーキングエリアで確かに美緒の車が停められていた。
そしてその側には美緒のスマホが落ちていた。
「…っ、あの馬鹿!!」
何かあったら連絡しろって言っておいたのに!
…でも今は怒っていても仕方がない。
美緒のスマホを拾ったところで背後から足音が聞こえ
振り返るとそこには伊達班長と萩原が立っていた。
「お前ら…どうしてここに…?」
伊「チンピラのリーダーがやっと吐いたんだよ。
富士崎から新宿で金を受け取ったってな。」
萩「でもそれ以上はまだ吐かせられなくて
とりあえず俺と班長で来てみたんだよ。
そしたら偶然お前を見かけたから後を尾けてきた。」
2人は僕に近づくと、美緒の車が停まっている事に気づいた。