第60章 陥穽
萩「まさか美緒ちゃん…」
伊「1人で富士崎のところに…?絶対罠だろ!!」
班長の言う通り間違いなく罠だろう。
1人で行くなんて無謀なことして
あいつはどれだけ僕達を心配させれば気が済むんだ…。
「車の側に美緒のスマホが落ちてたから調べてみる。」
どこに向かったのか手がかりを探す為、
僕は美緒のスマホを操作しまずはロックを解除した。
伊「おい、なんで暗証番号知ってんだよ。」
「…以前こっそり見た。」
萩「美緒ちゃんにバレたら確実に怒られるぞー。」
……だろうな、想像できる。
怒られるのを承知の上で調べていると
通話録音アプリが入っているのを見つけた。
まさかと思いアプリを開くと
数十分前に富士崎と会話した通話が残されていた。
「新宿〇〇ビル……
僕はすぐそこに向かうから、お前達はここで待ってろ。」
伊「はぁ?お前1人で行かせるわけねぇだろ。
美緒と諸伏の命がかかってんだ。」
「でもお前ら…彼女達を放っておいていいのか?」
萩「ああ、瑞希ちゃんなら大丈夫。
陣平ちゃんの病室に来させて一緒にいるから。」
伊「俺の彼女は実家の北海道に帰ってるところだしな。」
萩「それに
お前を1人で行かせたら俺が瑞希ちゃんに怒られんの。」
伊「はは。瑞希も怒ると相当怖ぇからな。」
…どうやらこいつらは何がなんでもついてくる気らしい。
全く…相変わらずお人好しだな。
「…分かった。班長、応援要請を。」
伊「おう!」
思えば昔からいつもこんな感じで
僕達は美緒に振り回されてばかりだ。
本当にあいつは世話が焼けるけど
なぜか憎めないんだよな…。
でも今回はいくらなんでも無茶しすぎだ。
お前の無事を確認したらみんなで説教してやるからな。
僕達3人は美緒が呼び出されたビルに向かって走り出した。
美緒…ヒロ……
今から助けに行くから無事でいてくれよ…
もうこんな心配ばかりさせないでくれ。