第60章 陥穽
目を覚ましたのは夕方6時頃。
その間一度も目を覚まさず爆睡していたので
体も頭もなんだかスッキリした気分だ。
ベットから出て適当にご飯を済ませた後シャワーを浴びた。
そして
零くんから貰ったネックレスと松田くんに買ってもらったピアスをつけて
諸伏くんを探すためにアパートを出た。
2人から貰った物を身につければ
なんとなく私を守ってくれそうな気がしたから…
諸伏くんの居場所は全く検討もつかないが
伊達くんから社長を襲った奴等のアジトを教えてもらっていたので
そこに向かって車を走らせた。
手がかりが何もない以上、今ある情報を元にしらみ潰しに探すしか私には方法がない。
零くんに聞いてもどうせ教えてくれないだろうから。
アジトらしき場所の倉庫に到着すると
入り口にはガラの悪い男達が数人溜まっていて私はその男達の元に近づいた。
『すみません、ちょっとお聞きしたい事があるんですけど。』
「あぁ?なんだよてめぇは!!
今取り込み中だから相手してる暇ねぇんだよ!」
『…あなた達のリーダーが捕まったから忙しいんでしょ?
大変そうね。』
「!!てめぇ…サツか?」
『違う。あなた達が傷つけた男性の知り合いです。』
東社長を襲ったのは、チンピラ集団のリーダーと一部の人間だけだから
そいつらが警察に捕まった今、この倉庫にいる残党達は今後の活動をどうするのか相談でもしていたんだろう。
「…ちっ。仕返しに来たってのか?」
『そんな無駄なことしない。ただ聞きたい事があるだけ。
…あなた達にお金を出して依頼した人がどこにいるか探してるの。
もし何か知ってるなら教えて欲しい。どんなことでもいいの。』
「知っててもテメェみたいな女に教えるか。さっさと帰んな!」
私の話を聞いていた男達の中の1人が私の腕を掴んできたので
私はその男の腕を掴んで捻り、跪かせて背後から押さえつけた。
「!!いっ……てぇな!!離しやがれ!」
『動かないで!!
ちょっとでも動くと腕の骨折るから。』
「っ…」
『何も知らないならそれでいい。でも知ってるなら教えて。
あなた達に危害を加えるつもりはないから…
お願い。』
私の真剣味が伝わったのか最初に私と話していた男は
一度ため息をついた後、口を開いた。