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《降谷夢》bonheur {R15}

第60章 陥穽




ずっと唇を重ねていたから
身体中が零くんでいっぱいになったような感覚になり、
半酸欠状態になった私は
唇が離されると同時に、零くんの肩にポスっともたれかかった。


『はぁ……もう…零くんキスし過ぎだよ。』

「まだ足りないくらいだ。」


いや、もう無理です。
体に力が入りません!


『でも…零くん仕事戻らなくていいの?』

「……分かってる。」


わかってるにも関わらず、
肩にもたれているままの私を離そうしないのはなぜ…。

言ってる事とやっている事が真逆の零くんが可愛くて、笑みが溢れた。


『ねぇ……今回の事件が解決したら
零くんとまたデートしたいな。』

「いいな。今度はどこに行きたい?」

『!!江ノ島!!
前行けなかったところ散策したい!!』

「またそんな近場でいいのか?
美緒は本当に欲がないな。」

『だって…この前行った時すごく楽しかったから…』

「分かったよ。絶対連れて行ってやるから。」

『本当…?約束だからね!』

「ああ、約束だ。」


私達は顔を見合わせて最後にもう一度だけキスをした。

そのキスは指切りの代わりのような、
ただ唇を重ねるだけのとても優しいキスだった。







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