第60章 陥穽
「…で、美緒のこの手の怪我はなんだ。」
『あ、これ?
松田くんを撃った犯人を捕まえる時に殴りすぎちゃって…。』
「!!またそんなことして……」
『うぅ。ごめん…
でも秀一くんとコナン君が協力してくれたから
その狙撃犯はちゃんと捕まえたよ?』
「赤井だと…?どういうことだ。」
…あ、今こめかみがピクッてなった。
相変わらず秀一くんのこと嫌いなんだ。
『零くんが私に何も教えてくれなかったから
秀一くんに頼んで事件のこと調べてもらってたの。
そしたらその狙撃犯が過去にFBIに侵入してた奴だって分かって…』
「なるほどな。
僕の知らないところで赤井とコソコソ連絡を取っていたのか。」
いや、突っ込むところそこ!?
もっと他に何かあるでしょ!!
『コソコソって…別に疾しい気持ちはないもん。』
「それでも気に食わないんだよ。」
『零くんが何も話してくれなかったからじゃん。』
「…それは悪かった。でも…」
零くんは握っていた私の手をグッと引っ張り
驚いていると目の前には零くんの整った顔があった。
「ちょっ…と……近いってば…』
「あいつの事を名前で呼ぶなって、前にも言っただろう。」
…そういえばそんなこと言われたな。
すっかり忘れてた。
『ごめん…許して…?』
「許さない。ムカついた。」
『っ、んんッ!!』
後頭部をガシッと掴まれ
零くんは私の唇にかぶりつく様にキスをした。
秀一くんに嫉妬しているであろう彼のキスは
とても荒々しくて…でもなぜかとても気持ちよかった。
「…はぁ…美緒…」
『ぁ……んッ!』
呼吸をするために唇を離してもまたすぐ重ねられる唇…
お互いに息を乱しながら私達は夢中でキスをしていた。
「…くそっ、ここが外じゃなかったら今すぐ抱いてるのに。」
『っ、な、何言ってんの!?』
「早く美緒を抱きたいんだ。」
『〜〜っ!!もう!恥ずかしいって!』
真顔で抱きたい、と何度も言われながら
零くんはしばらくの間私にキスをし続けた。